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台風の残滓(3)

 夏美先輩の姿が見えなくなった後、僕は自分の傘を使おうか、それとも借りた傘を使おうかしばらく迷っていたが、せっかくなので先輩の傘を使わせてもらうことにした。
 校門をくぐるとき、体育教師が傘を差して立っていたので軽く礼をすると、台風が来てるらしいからな、寄り道しないで帰れよ、と声をかけられた。
 しばらく歩くと足元がびしょ濡れになった。制服のズボンが水を吸って脚にまとわりついてくる。夏美先輩のレインコート姿を見られたのは収穫だったけれど、授業が終わってすぐに帰宅していればここまで本降りではなかったのにと考え、ほんの少しだけ後悔する。
 駅までの道のりの三分の二程を来たときだ。後方から水を弾く足音が聞こえた。振り向くと、レインコート姿の夏美先輩が小走りに駆け寄ってくる。
「もう最悪。台風が近付いてるから、自転車禁止なんだって。風が強くなったら危ないからって、校門のところで止められちゃった」
 僕の脳裏に傘をさして立っていた体育教師の顔が浮かぶ。
「別にだいじょぶなのに。なんてったってわたし、運動神経抜群だから。そんなことよりこの美貌でしょ。変質者に襲われないか、そっちの方を心配してほしいわ」
 僕は、はいはい、と相槌を打ちながら、先輩のレインコートに覆われていない手や顔が、雨に濡れて赤くなっているのに気付いた。
「とにかく入ってください」
 慌てて頭上に傘を差し出すと、ありがと、と言って先輩はフードを取った。先輩が手を上げたとき、僕の半袖の制服から出た腕にレインコートが触れた。ツルリとした冷たい感触に、思わず身震いしてしまう。塩化ビニールの香りが鼻孔を刺激する。
「どうしたの?」
 先輩が顔を覗き込んでくる。どうやら僕の様子に不自然さを感じたようだ。
「なんでもないです……それより、雨すごいですね。早く駅まで行きましょう」
 そう言って僕は急いで歩き出した。先輩も慌てて付いてくる。歩く度に体が触れ合い、レインコートの生地が皮膚を愛撫する。衣擦れの音が悩ましいリズムを刻む。僕は快感に包まれながら、と同時に理性の糸を固く握りしめ、駅への道を進んで行った。
 駅に着いたときには、僕は疲れ果ててしまっていた。しばらくぼんやりとした後、先輩がレインコートを脱ぐ様子を眺めながら、ぼさつく折り畳み傘を小さくまとめる。
「山崎君、駅どこ?」
 レインコートを脱ぎ終えた先輩が聞いてきた。
「K駅です」
「あっ、じゃあ途中まで一緒だ。山崎君は定期だよね。わたし切符買ってくるから、ちょっと待っててね」
 先輩はそう言うと、券売機の方へ走って行った。
 そわそわした気分の僕にとり、待ち時間の手持ち無沙汰はなかなか手強くて、思わずきょろきょろしてしまう。通い慣れた駅の光景を見ながら、なんか迷子の子供みたいだな、と恥ずかしくなる。

テーマ : フェチ
ジャンル : アダルト

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