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特別実習(1)

「では授業を始めます。今日は特別実習です」
担任の石川先生が授業開始の号令をかけた。だが、彼の目は以前として台の上の男に釘付けだった。他のクラスメイト達も同様だ。皆、台の上の男に見入っていた。
 男は裸だった。ベルトで手足を台に固定されていた。口にはボールギャグを咥えさせられていた。
「はい、みなさんこっちを見てください」
 石川先生が黒板を軽く叩いた。黒板には「犯罪」という見出しが大きく振られ、その下に様々な犯罪名が列挙されていた。
 石川先生は二十八歳の女性教師で、A小学校五年二組を受け持っている。長身でスリムな体型。肩にかかるストレートの黒髪。端正な顔立ち。冷たそうな印象だが、生徒思いの優しい先生で、男女ともに人気があった。 
「みなさんはテレビを見ますか」
 石川先生が問いかけた。生徒達は頷いたり、声に出したりして同意を示した。
「もちろん見ますね。テレビでは毎日、犯罪についてのニュースをやっています。そうです、今みなさんがこうして授業を受けている間にも、どこかで犯罪が起きているのです。本当に悲しいことですね」
 石川先生は声を沈ませ、視線を落とす。そして再び顔を上げ、はきはきした口調で、
「ところで犯罪には様々な種類があります。詐欺のようなお金目当てのもの。麻薬のような快楽目的のもの。塀の落書きのような遊び半分のもの。そして一番卑劣で許せないのがこれーー」
 石川先生は赤いチョークをもち、黒板に書かれた「性犯罪」という文字をぐるりと囲んだ。
「そう、性犯罪です。これは我慢や自己管理のできない最低の人がやる、もっとも卑しい犯罪です」
 石川先生はベッドに横たわる男に一瞥を加えた。
「先ほどからみなさんも気になっているようですね。このベッドに縛られている男の人。この人はその性犯罪をした人です。なんと三十歳近くにもなって、電車の中で小学生の女の子のお尻を触ったのです。許せませんね。しかも、満員で手が偶然はさまってしまっただけだ、などという言い逃れまでしたのです。ほんとに最低ですね」
 石川先生は恐い顔をして、しばらくの間男を睨み続けた。そして再び生徒達の方を向き直ったときには、いつもの優しい顔に戻っていた。 
「ところでみなさん。この男の人が小学生の女の子のお尻を触ったことからもわかるように、みなさんも性犯罪の被害に合うかもしれません」
 石川先生は生徒達の顔を見渡した。
「恐いですね。だから今日は、みなさんが性犯罪に巻き込まれそうになったときのための、対処方を勉強します」
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